小屋日記

ぐんと冷え込んだ朝。

外に出ると頬がひりりと痛い。


出勤すると、電話が鳴った。

「以前、電話をした者だけど、例の物を届けていいかな?」

5分もしないうちに、自転車に紙袋や包装紙をたくさん乗せて届けてくれた。

冬は自転車の出番はないと思っていたけれど、押し車のようにして荷物を運ぶ役目があると知る。

「処分するのは簡単だけど、誰かに使ってもらえるなら使ってほしくてね」

と、以前まちなかでお店をされていたという男性は言った。

そう、誰もが知るあのお店の包装紙。そうか、今はもう1店舗も無いのだなあ。


そのあと、やってきた男性。

「昨日、母が亡くなって。15時45分でした」と。

以前、確かお母様が施設に入っていると話していたような。

「だから母の洋服を持ってきてもいいかな」

SMAPが好きでコンサートに行くための服をいっぱい持っていたという。

思い返せば、亡くなった大切な人の服をもらうことがとても多い。少しでも誰かに渡って欲しいという思いが伝わる。

それにしても昨日の今日。

もしかすると誰かに話したかったのかもしれないし、そうじゃないかもしれないけれど、お母さんの服たちが届いたらできる限り次の人に手渡していきたいと思う。


続いて久しぶりのAさんも立ち寄ってくれる。

「元気じゃないけど、それなりにやっているよー」。

元気じゃないけど寄ってくれるの嬉しいね。

お茶を飲みながら互いの近況報告。


小屋ではTさんによるリトミックが初開催。

主催のTさん「今日は誰も来ないかもなあ」と言っていたけれど、Jさんが登場し無事にスタート。

リトミック、イメージと違うっ!

とにかく身体を使う。感情も使う。

聞けば、100年以上前にスイスで生まれた「音楽を身体で感じ、表現するための」ものらしい。

「表現」というところに重きが置かれていること、全然知らなかった。

だからぶんか小屋を選んでくれたんじゃないかなあと思う。

帰り際、TさんとJさんは「北斗の拳」の話でものすごく盛り上がっていて、それが意外なようなそうでもないようなでなんかよかった。


Tさんが帰るのと入れ違いで、ぐすぺり帰りのFさんが立ち寄ってくれる。

早速、やってきた包装紙を見せると「使えるね、使いましょう!」と。

ぶんか小屋にやってくるいろんな物たち。

洋服にしてもモノにしても「そのまま」使うのではなく「工夫」して使う人たちがたくさんいて心強い。

洋服が美しい糸になっていくKEITO場の営みのように、もっともっと多様な「出口」を見つけていきたい。


Fさんがふと口にした「竹田さんは今年何したいの?」の質問に、咄嗟に答えられなかったことを考える。

「あなたは何したいの?」

おそらく昨今一番聞かれることば。

そりゃそうだ。周りの人に色々やってとお願いしているのだ。

そんなあなたは何がしたいんだい?と思うだろう。私もそう思う。

なのにいつもパッと思いつかないのはなぜなのだろう。

やりたいことがないわけないし、やりたいことをやってきたと思うのだけど

「やりたい」という言葉とうまく接続しない感じがある。

引き続き考えてみたい。


夕暮れ時、親子がやってくる。「外のあれ、いただきました」

「500円でいくらでもどうぞコーナー」からたくさんのものたちを持っていってくれる。

「700円にしてください」と200円多めにいただく。

「落語も観に来てみたいんだけど、、、」

ふらり立ち寄ってくれた人が、落語に触れるまでのハードルってきっと結構ある。

そこを埋める方法って何かあったりするのかなあ。

きっとあるよな。とまた、ぐるぐると考える歯車に一つのテーマを入れ込む。


それからおばあさんがやってくる。

「本をもらってほしくて」岩波ジュニアの本を3冊。

「重いから少しずつ運ばせてください」

どこから聞いてきてくれるのだろう。通りかかって思ってくれるのだろうか。


今日は落語の指定席のチケットを買いに来てくれる人もとても多い。

初めて会ったその人までチケットを買うついでに「これどうぞ」と本を寄贈してくれたりして面白い。


これはずっと思っているのだけど、みんなの家の軒先や町内会館の入り口に「ご自由にどうぞコーナー」を置くのはどうだろう。

それだけで街の燃えないゴミがどれだけ減るだろうか。

散歩も楽しくなるだろう。

生活が大変でも、新たな食器や服を楽しむこともできる。

リサイクルで販売できるものはしたりして、でも買取不可能なものとかはそうやって街で循環させてどうしてもダメだったら捨てるようにしたら良いのではないだろうか。


一度、江丹別のゴミ捨て場を見学した時は本当にびっくりした。

私たちはゴミを見えなくしているだけなんだと知ってとてもショックだった。


「ただより高いものはない」というけれど、「ご自由にどうぞ」のような見返りを求めない「差し出し」の文化もこの土地には根付いているのではないだろうか。

何かそういう論文とかないのかな、、と調べてしまうからまた時間が経ってしまう。

あ!!これはやりたいことだ!

「ご自由にどうぞ」に似た日本、世界の歴史を調べること。メモメモ。


そうこうしていると「こんにちは〜!」と子どもたちがやってくる。

人物デッサン会の時間である。

「人物」のデッサンを練習できる機会ってそんなにないのだそうだ。

「どんなに参加者が少なくても一人でも来る限り続けたい」と以前主催の水溜さんが話してくださったことがあった。


イベントを主催してくれている方に共通していることがある。

それは「使命感」。

イベントをやりたい!と言うより「自分がやらねば誰がやる」、そんな思いがその人を動かしているような気がする。


それにしても寒いなあ。

今夜は-13℃まで下がるようだ。


シャッターを下ろそうとすると昨日退院したばかりというKちゃんが寄ってくれる。

昨日たまたま元気かなあと思っていたので、姿を見れて嬉しい。

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